SAITECを中核に次世代型蓄電池の開発に取り組みます
高性能な「リチウム‐硫黄系蓄電池」の実用化を目指します

埼玉県は、平成26年度から展開している「先端産業創造プロジェクト」の一環として、県産業技術総合センター(SAITEC)の技術シーズを活用し、同センターを中核に「リチウム-硫黄系蓄電池」の開発に取り組んでいます。

本開発の主な特徴

リチウムイオン蓄電池は携帯電話など身近なものから航空機まで幅広く利用されていますが、電気自動車用としては、航続距離の点でさらなる大容量化が求められています。

そこで、SAITECが独自開発した硫黄系の正極材料(※)を活用することにより、蓄電池の大容量化を目指します。

開発するリチウム-硫黄系蓄電池を実用化できれば、電気自動車の航続距離をガソリン車なみに伸ばすことが期待されます。

※この正極材料は、SAITECがNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の採択事業(平成20年度~平成23年度)で開発したもので、特許を取得済みです。

本開発の概要

1 蓄電池は主に正極、負極、電解質、セパレータで構成されています。本開発ではSAITECが特許を保有する硫黄系正極材料を活用し、大容量リチウム-硫黄系蓄電池の実用化を目指します。

2 今年度はSAITECと埼玉工業大学(深谷市)の共同で開発をスタートし、基礎技術を確立するとともに、来年度から県内企業等と組んで実用化を目指します。

3 開発期間は平成26年度~平成28年度まで。平成27年度までは電極など部材や製造技術などの開発を中心に行い、平成28年度には電池の構成や信頼性を検討する予定です。

用語の解説

「リチウムイオン蓄電池」

正極にリチウム金属酸化物、負極に炭素等を用い、正極と負極の間をリチウムイオンが移動する蓄電池。現状のリチウムイオン蓄電池の正極には、主にコバルト・マンガン・ニッケルなどを含むリチウム金属酸化物が使われている。正極板と負極板とをセパレータで挟んで重ね合わせ、リチウムイオンを含む溶媒で満たした構造になっている。

「リチウム-硫黄系蓄電池」

リチウムイオン蓄電池の一種として構造自体は変わらないが、正極に硫黄を使用するもの。硫黄はリチウムを多く蓄えることができるため、電池容量が飛躍的に増大することが知られているが、硫黄の安定化が困難であるなどの課題がある。